鈍る空色


一言で言えば

『私には豪華絢爛は無理だ』と思った

朝陽が窓辺から差し込む時間になれば

「おはようございます、今日は良いお天気ですね」と毛布を優しく剥がすリナさんの言葉から1日が始まり


「お着替えです」

「朝食のお時間です」

「昼食は何がいかがですか?」

「書物をお持ちしました」

「夕食のお時間です」

「湯殿にご案内致します」

「お休みなさいませ、薫様」

毎日決められた時間に彼女は声を掛け


最後に一礼の動作をすると扉の横に待機して静寂が室内を包む

慌てふためくのは最初だけで、薫にとって何不自由の無い贅沢な生活の日々

旅行に来たんだと思えば心も踊るが


1日が終わり

薄暗くなった部屋

同じ空間に居るのに彼女の存在は、その時点で消えていた

最初は何度も不安になり彼女に声を掛けた薫だが、日が経つに連れて気遣わしげに来る彼女に罪悪感と、二十四時間見張られている違和感にどうして良いか解らなくなった

そっと薫はベットに腰を下ろし、カーテンが閉められた窓に視線を向け吐息を吐く


此処に来て数日が経過したが、馴染めない生活を数日繰り返すと、生活リズムに慣れると同時にリナさんとのやり取りはこれだけになった



『何なのこの生活は……』

毎夜枕元で不安に駆られながら瞼を閉じる薫だったが

そんな愚問も吹き飛ばす出来事を持ち込んだのは、やはり彼だった




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