鈍る空色


走って、走って、走り続けて息も絶え絶えに見知らぬ不気味な森を逃げるように移動する女性は、ここの世界では捕食の対象となる「餌」だった

額から流れ落ちる汗が頬を伝い地面に落ちても気持ち悪さなど感じない
足元に絡まる草木を払い除ける事も忘れて前に進んでいく

荒い息を整える事もせずに悲鳴を上げる太股を叱咤しひたすら走続けていた

歪む眉が苦しさを表すが後方から迫り来る「恐怖」に抗うには逃げるしか思い付かないのだ

「なんでこんな事になってんのよ!」

情けなくも目尻に涙を浮かべ呟く声音は震えて顔面に草木が当たろうと歯を食い縛るだけだ










本当なら今頃親友のと久しぶりのショッピングを楽しんでいる所だった

「ゆきちゃん」

親友の名を荒い息と共に吐き出す

風が全身にぶつかり体を冷やす
きっと走る事を止めれば凍死してしまうだろう

重たい体は長年蓄積された老廃物をしっかり蓄え、今の状態に足を引っ張っていた

体型に悩む自分をゆきちゃんが元気づけてくれたのはつい先程だった
面影が鮮明に脳裏に浮かぶ

……薫は気にしすぎ!体型にこだわる人の機嫌伺うより自分にあった可愛い洋服を見つけたり、化粧したり内面をもっと磨けばいいじゃん……

……そうかなぁ……

……薫の良さは外見じゃないよ!……

……ありがとう……

「ぐぇ……ゆき……ちゃん……」

嗚咽が漏れるが何とか涙をグッと堪える

どうして自分はこんな所に居るんだろう……

泥にまみれて、無惨に踏みつける草木に足を傷付けられ

体にまとわりつく枝は容赦なく行く先を拒まれた

今まで居た所と余りにも違いすぎて、嬉々としていた気持ちなど一瞬にして消えて無くなった

でも、そもそもの原因は知っている

だが、だからと言ってこの境遇は今まで知識としてあったものと大きく異なった

友達とは会えない覚悟は記憶を掘り起こせば当たり前だと思う

ただ……どうしても分からない


ここに居る理由


私は……私は


さっき親友の前でトラックに跳ねられ

死んだばずなのだから



- 2 -





/19 n


⇒作品艫激rュー
⇒モバスペ脾ook